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  協会での仕事の中で一番誇れることは、平成9年、総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会(通称エネ部会)の答申に従い、一般ガス事業の料金制度に準拠した簡易ガス事業の一般供給規定料金である複数2部料金制度(固定的に発生する原価を基本料金で回収し、変動原価を使用量に応じて従量料金として回収するのが原価構造に忠実であり、理論的にも認められた制度)を私の原案で作成したことであろう。原案を業務委員会で審議し、承認されたものを当局に申請し、認可を得た。
  これに伴い、大口需要種別ごとに適用する負荷調整契約料金制度(要綱方式)も作成しました。
  昭和45年以来使用されてきた最低責任使用量付区画別低減料金(通称ブロック料金)から複数2部料金制に移行することになるが、その際、算定方法の仕組み;需要構造(A・B・C)の設定、特にレートメイキングは方程式を適用する関係から手計算では無理があるので、エクセルでプログラムを作り、複数2部料金の算定が容易になるようにしました。
  旧料金の需要区分が新たな需要構造区分(A・B・C)に変更されるため、団地の需要構造によっては事業収支の増減につながる恐れがあるので、レートメイキングで調整する。
  早急に簡易ガス事業料金算定要領(手引き)を作り、全国で講習会を開催して、普及促進に努めた。現在もこの要領に従って料金を作成し、経産局の認可を受けているはずである。

  同時期に原料費調整制度もエネ部会の答申に従い、適用された。公益事業料金(電気、ガス)においては、原料費(天然ガス、LPガス)の変動に応じて一定の基準(基準値を超えた場合)により自動的に料金が見直される仕組みを導入している。原料費を調整する指標としてCIF価格(財務省貿易通産統計値)の変動を基準として半期ごとに調整している。
  これも一般ガス事業に準拠して簡易ガス事業も適用されたが、団地ごとの料金設定、私営、公営もあり、算定が複雑なこともあるので、エクセルでプログラムを作成し、数値を入力するだけで自動的に計算できるようにした。
  このことはテレビで、「検針表で○○月から○○円値上げ、○○円値下げします。」と報道されているのを目にすることでしょう。
  したがって、CIF連動で値上げ、値下げができるので、石油のように値上げを飲んでもらえないので、苦労しているのと大違いである。
  当初フリーマーケット育ちの私には感覚的に馴染めないものであったが、その仕組みを理解した時いい制度だなーと思った。
  石油製品でのやり方は、品質ではほとんど差別化はできず、売価だけでの差別化がそのほとんどで情けない限りであったとつくづく思った。
  電気、ガスに比べ石油は政治的にはかなりお粗末であると、協会に来て公益事業に携わってみてつくづくそう思った。

  ガス事業法の改正、料金算定要領の改正などがある場合、北海道から沖縄まで普及促進のための講習会を開催し、講師として全国を回る。
  事業者の1番の関心事は料金改正関係で、出席者が一番多く、関東では500名を超えることが多々ある。会場は日本橋公会堂、東京ガス滝の川研修所などであるが、入りきれない場合は午前、午後に分けて開催する。この場合、気をつけねばならないことは、同じ内容を同じ順序で説明すると今喋ったことか午前に喋った事かわからなくなり、混乱する。よって説明の順序を変えることが肝心であることを経験から学んだことは印象深い事柄で頭の隅に残っている。

  総括原価方式による料金設定ができ、その仕組みを理解できていれば会社経営ができるといわれています。業務委員会の委員は全国10支部の代表としてその地域の大手企業の会長、社長、専・常務がほとんどで親しくしていただいたおかげで事業収支も読めるようになり、経理関係も教えていただいた。また、経営者の考え方が判るようになり、今までのように従業員感覚ではなく、経営者感覚で物事を見られるようになった。現在でも親しくなった委員長他数人の委員とOB会を作り、毎年、旅行・ゴルフ・飲み会等で遊んでもらっている。
  やはりご多分にもれず会社人間なのか、仕事のことばかり列挙したが、次回は遊びの面から書いてみたいと思っている。

おしまい

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