<戻 る>


  パチンコは昔よくやった。やらなくなった理由はチューリップからフィーバになり面白くなくなったこと、ゴルフに熱中したこと、小 遣いが減ったことなどであろう か。
  金輪際やるつもりはなかったが、行きつけの居酒屋で知り合いになったKさんから、「吉原さん人生が変わるからやってみたら、教え るから」と誘われた。何度か誘われ、1万円ぐらいなら良いかという軽いつもりで誘いにのった。
  久しぶりの店は様変わりであった。店の大きさ、明るさ、清潔さが格段によくなり、何よりも煙草は台ごとに仕切りがあり、煙が隣に こない。
  「吉原さんこの台だったら3千円ででるよ」と言われ、入金した(今は台毎に現金を入金できる)。機種は「海物語」であったが、ハ ンドルの固定の仕方を教わり、保留玉(へそに入った球の数)が四つになったら手を離すこと、出玉の受け皿を交換するために従業員を呼び出す方法などを教 わった。
  ボタンを一度押すと5百円分125球が出てくる。この分で10〜15回へそに入り、1回ごとに3組のドラムが回転し、数字がそろ うと当たる。基本的には昔のフィーバと同じである。何が違うのかは後述する。
  2千数百円ほど打つと奇数で当たりがきた。この機種の場合、奇数で当たるともう一度の当たりが保障されているそうで、出玉は2箱 (3千球)になった。「吉原さん今帰ったら1万儲けだよ」と言われたが、ほんの30分で帰る気にはならなかった。Kさんは別の台へ案内してくれた。2箱持 参して再度始めたところすぐ当たり、結局、合計5箱になった。   換金の方法を教わり、Kさんに1万円差し上げ、私のパチンコ初日は終了した。ちなみにKさんは後から聞くと13連勝中ということ だった。その後Kさんを師匠と呼ぶことにした。
  私が行った店は権現堂近くのL店。大駐車場、食堂、キッズルーム、コインランドリー、休憩室、綺麗なトイレ、ドリンクサービスが 完備し、騒音だけを除けば居心地のいいところである。ご丁寧にATMがあるが、3万円の制限があるそうだ。
  台数は前述の「海物語」は昔からの人気台だそうで80台あった。さらに他の機種がその数倍あり、更にスロットルもあり、全体で 800台であった。
  ところで師匠はどうやって出る台が分かったのか、それは台の上部に表示されている数字(データ)による。現在の回転数(へそに 入った数)、本日の当たり数、確変数、前日までの当たり数、確変数が電光表示されている。確変数というのは確率変動の当たり数である。確率変動になると通 常300〜400分の1程度に設定されている確率がその10倍程度上がる。「海物語」では奇数の当たり終了後は必ずこのモードになり、確実に当たる。
  キャリアをつんでいくとこのデータを読むことで勝てるようになる。当たりが続く、別の言い方をすると確変が続くと勝てるわけだ が、これには波がある。要するにこの波をデータから読むわけである。
  5月に教わり7月頃まで時々通った。師匠の教え「少しでもプラスになったら帰る」を守った結果、勝ったり負けたりで損得はなかっ た。その頃新台で「ウルトラマン」が入った。「海物語」はミドル台といって確率が高い分出玉も少ない。「ウルトラマン」はMAX台といって確率が低い分出 玉も多い。師匠は海専門であったが、私はチャレンジしてみた。新台は20台設置された。人気があるため朝並んで整理券が必要になる。驚いた。動画によるド ラマの展開と仕掛け、大音響、光、「海物語」とは次元の異なる表現である。リーチ(数字が二つそろう)がかかるとドラマが始まる。ドラマにはステップがあ り、最終的にはウルトラマンが宇宙怪獣に勝利すると当たりで、約2千球の出玉になる。その後確変になり、バトルに勝利すると再度当たる。良い台だとこれが 続き、これを連チャンという。
  この台で最高13連チャン+18連チャンし出玉で4万8千球出したことがある。これが私の最高記録である。
  この頃は20台分のデータをエクセルに取り込み、グラフ化してみた。ほとんどの台は一日おきに波がある。しかし1日の中でも波が あり、朝一番から始める台を決めるのは難しい。
  店によるが、出玉を換金する時に手数料を約1割とられる。会員になるとカードに貯玉が可能になる。そのメリットから以後は貯玉で 勝負することにした。
  貯玉だと勝ち負けが良く分かる。結局この年末は損得なしであった。師匠の話では年間を通して勝てるのは一割程度の人、勝ち負けな しは上出来だとのことであった。

  年が明け「ウルトラマン」も下火になり、色んな台で打ってみた。一般的に新台は良く出るので、客が多い。新台がなぜ出るのか。そ れは釘を開いているからである。当たりはプログラムだとしても球が入らないことには始まらない。店員の話だが、店がコントロールできるのはそこだけという こと(真偽不明)。従って新台を追っかけてやってきた。
  冬のソナタ、AKB48、仕事人、北斗の拳、牙狼、仮面ライダー、鉄拳、ルパン3世等々、ほとんどが漫画やドラマをモチーフにし ている。これらの台の動画や仕掛け、演出を見ていると芸術作品と思えるものもある。最近は美大出身者がパチンコメーカーで仕事をしていると聴く。台の価格 は30〜40万円程度らしいが、結局儲かっているのはメーカーということか。

  年を明けてから6月までに貯玉は延べ20万球ほどになった。回数は週3回程度で一度には3時間ほどだったが、3回に2回は勝った ような気がする。
  6月に換金して3万球残った。年末まで行く回数も減り、エクセルのグラフ化もやめたが、この貯玉は維持できた。
  年明けは2勝2敗で貯玉増減なしである。
パチンコをやる人間は屑だ、ゴミだとよく仲間内でいっている。確かにのめり込みすぎて借金までし、最後は自殺までしたという話を聞く。2万円ぐらいアッと いう間に打ち込む。2万円あればあれが買えた、これが食えたと後悔する。
  私は始めて以来、勝っているから続けているが、たぶん負けの合計が10万円にもなるとやらなかった。
  私が勝つ、あるいは負けないのは。今振り返ってみるとまずは、その日の最大の負けを7千球以内としていることであろう。金にする と3万円以上は絶対しないこと。
  次は同じ台にこだわらないこと。1500回転以上(10万円以上)打って当たらない台はざらにあるからである。一番よいのはハイ エナ作戦である。夕方行って他人が打った台のデータを分析してやるのが最も確率が高い。
  パチンコの勝ち負けは運だけではない。メーカーの組み込んだプログラムとの勝負である。全ての台の年間の出玉は同じだと言われて いる。日と時間で波を作っている。上昇の波にのっかれば勝てるわけである。
  最後に、負けるのが当たり前の遊びです。あまりお勧めできないが、最新のテクノロジーを知るのも一興かと。とにかく昔とは大違い です。
  (あとがき)私の師匠はデータの読みができなくなり、パチンコはやめたようです。


<戻 る>