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  この夏の熱さと湿気で壊した体と心を癒すために医薬品を避けて、「そうだ!青森の八甲田山麓の酸ヶ湯温泉に行こう!」と思い立ったのです。2泊3日の初めての湯治経験、ちょっとワクワクの気分で。2日目の夕方、有名な千人風呂のヒノキの浴槽に浸かっていました。すると、背高で、がっちとした外人が僕の近くの湯に浸りに来たのです。
  外人を見ると、話したくなる僕は、すぐに、「アーユー アメリカン?」外人は「ノン、フレンシ」僕は「オー」しめた!と思い、習い始めて4日目のフランス語と英語のチャンポンで話しかけました。「メイ アイ スピーチ イン フレンシ?」
  「コレクト マイ フレンシ?」。湯船の中で英語とフランス語で話しかけてくる日本人が珍しかったのでしょう。「オーケー」面白がって乗り気です。
  僕「オンションテ。ジュ スイ ジャポニーズ。ジュ マペル かずやなかみち」。
  (はじめまして ぼく日本人 名前は中道和也です。)
  外人「ウイ」
  フランス語会話 僕「コマンタレブ?」「ジュベヤン」(どう 元気 : げんきです。)
  外人「ノン。 ジュベビヤーン エブ? メルシー」
  (いや、ジュベビヤーンと延ばして。その後にあなたはいかが? ありがとうと挨拶するのよ。)
  僕 おうむかえしに繰り返す。 外人「ウイ」
  僕「フランス語のRの発音 むつかしい。 僕出来ない」
  外人「日本人には、舌の位置がむつかしいね エクササイズ モア!」
  なにしろ、42度のお湯の中、体も必死に活動した脳細胞も、熱くて熱くって真っ赤。
  僕と外人「メルシー ブック アビアント」(ありがとう また会いましょう)
  なんと、翌朝、旅館の玄関で外人と日本人の奥さんとばったり。  僕「ラーストナイト ユアーレッスン メルシー」  外人「ツウ ミー」  僕 奥さんに「夕べのお風呂でのことを云々」と英語で話かけると、奥さん日本語で「主人から、聞いていますよ。わたし 日本人 日本語しゃべれますよ」。僕「。。。」。 奥さんが日本人だと分かっていても、意識では日本人だとの意識が無くなっていたのです。「オー! ユアー ジャポニーズ ホアゲット」大笑い。  湯船の中でのフランス人とフランス語のコミュニケーション。都会のフランス語教室のプログラムでは、絶対にないでしょう。実に楽しい思い出と自信の持てた、ぶっつけ本番の自己流のコミュニケーションでした。


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