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 BEGIN THE BEGIN!!  BEGIN THE 詩吟!!SHIGIN IS CALLED RECITATION OF A CHINESE POEM. SHIGIN IS ONE OF JAPAN‘S TRADITIONAL PERFORMING ARTS.

  ふとしたことから、2015年11月から詩吟の教室に通っています。
それは馴染みのカフェでお友達になったNさんに、百人一首が覚えられないとか、古典文学の書き出しの文言や名のある方の辞世の句のお話を続けていましたら、「詩吟の教室があるので聞きに来ない! 百人一首のカルタ取りの方や古典文学に詳しい人もいますよ!」とお誘いを受けたのです。面白そうだな〜と直感したお店には、のれんをくぐってみる癖のある僕は、見学だけと思ってひょいひょい〜と、のれんをくぐったのです。詩吟という単語は知っていましたが、音楽の素養のない僕には全くのUFOの世界でアンタッチアブルな世界。まったく初体験で聞いた中高年の方々の詩吟の艶声。ふ〜ん。これが詩吟の幽玄の世界なの。
  迷わずに、僕もやってみるか!と入会したのです。何1つ知らないのだから、まずやってみて、それから迷えばいいだろうと。浅はかというか、無謀限りない事をやったのです。流行歌でさえまともに歌えなく、音階や節回しを声で表現できない僕には、とてつもなく難しく、しどろもどろな声で、声をどこから、どのように出していいのやらわからず、七転び八転び九転びの連続です。皆さんはうますぎる。うっとりするぐらい声に艶が在るのです。極端に下手な僕には、どんなにがんばっても手が届かないこともわかったのですが。でも、人生の終盤で、まったく手も足も出ない苦手なことに、あえてチャレンジするのも悪くない。良い思い出になるかも。
  それにしても、なぜ、教室に入会したのだろう。昨年の11月を思い出してみると、江戸時代の和算の原書を見つけて江戸時代の文字を読み始め、もっと読めるようにと、くずし字を読む会に通ったりし、何か?心の中に日本の古典を求める心模様の風が吹いていて、詩吟をも風が巻き込もうとする心模様だったのでしょう。

  詩吟の世界とはなんなの〜:
  入門したばかりの僕に、「詩吟とは、なんなの?」って聞かれたら、多分、こんなんじゃないかな〜と答えます。詩吟の世界は、松尾芭蕉の「閑さや 岩にしみいる 蝉の声」の世界でもあるし、また、「柿食えば 鐘がなるなり 法隆寺」の世界でもある。
  詩吟の艶声が、空中に響き渡りながら、「宇宙に しみいる」世界ではないかな。
バイオリンの高い音色もチェロの低い音色も、響きながら宇宙にしみいってくるのと同じように。声高らかに歌い上げるオペラやカンツオーネやシャンソンとは違う。長唄、小唄のような艶めかしい色っぽさでもなく、お坊さんの読経とも、能の雅楽とも、民謡とも、都都逸とも違う。花でたとえるならば、西洋のランの花ではなく日本のランの花の雰囲気です。
  日本で催されている世界ラン展での和蘭の気高さの世界です。
  教室での先生の下でのレッスンの初めと終わりには、必ず、吟道精神を全員で唱和します。吟道精神では、「吟道は気を養のうの道なり」と謳って「気」を大切にしています。 「気のつく言葉;(例えば○気 気〇)」をネットで探すとA4版の紙一杯の数があります。その中でも、吟道で求めている気とは、まず、「人の生や気なり」と謳い、気力=命としています。さらに、「邪穢(じゃあい)を蕩滌(とうてき)して飽満を斟酌し」と謳い、気の気高さをめざしています。結びには、「吟じ終わりて、清風起こる。一吟天地の心」として、朗朗と吟じ終わると、天・地・人が、気を介して溶け合い1つの宇宙になると謳っています。

  詩吟のテクニック:
  漢詩の硬さを、なめらかな日本語に直して一字一字大切に楷書で読み、くずし読みはしません。楷書読みに、詩吟強・弱・緩・急・間を付け、さらに、起句・承句・転句・結句のそれぞれの末尾の言葉の母音に、詩吟独特のビブラートを付けて詩情豊かに朗朗と吟じます。
ベストセラーになった「声に出して読みたい日本語」では楷書読みの朗読を勧めています。楷書読みを吟ずるときの吟符の表し方は表意記号と表音記号を一度に表す記号であって、西洋の♪のような表音記号だけはないのです。

たとえば、

  僕にとって詩吟とはなんなの〜?
  僕は、理系の仕事で前を見るばかりの世界にいたせいか、後ろを見る世界には、まともに接したことがなかったのです。いわば西洋の文化や文明ばかりを見てばかり、後ろを、いわば日本の固有の伝統文化には接してこなかったので、なにか根っこの無い浮草のように感じていたのです。なんでもいい、日本の伝統文化を身につけなくてはバランスが悪いと思っていたのが解消され、2020年の東京オリンピックで外人に会っても日本を紹介できそう。


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